はじめてのタレントだった。
その名前は、四万十川。

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なぜ、
四万十川だったんだろうか?

今まで、日本全国各地をロケしてきた。セブン‐イレブンのコンセプト映像の撮影は、日本を撮る撮影といっても過言ではない。

北海道から九州の鹿児島まで、神々しいまでの朝日、雪が舞う長野、復興をがんばる三陸、勇壮な祭りの青森、伝統工芸に目をみはる石川、そこにさまざまな暮らしの息づかいを感じ、カメラをまわしてきた。

今回のロケでは、四国、高知の四万十川を中心に撮ってきた。「共生」という言葉が、頭の中に浮かんでいた。なぜなら、時代のテーマである「環境への配慮」に、今セブン‐イレブンが真剣に取り組んでいるからだ。

日本最後の清流をモチーフにして、
今回はつくろう。

セブン‐イレブンは、包材や容器、新しいフタやストローなどでプラスチック使用量低減に取り組んでいる。さらには、野菜の長鮮度化技術によりフードロスも極力少なくし、これからますます環境にやさしい「近くて便利」をめざしていく。

そこで企画したのが、日本最後の清流と言われる高知県の四万十川だ。 四万十川を今回のコンセプト映像のメインのモチーフとして、「環境への配慮」さらにはセブン‐イレブンの先進技術「セブン‐イレブンアプリ」や「7Pay(セブンペイ)」などの表現ができないか、と考えた。

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ただひとつ、危惧があった。

撮影のタイミングは3月。
実は僕はまだ、四万十川へは行ったことがなかった。ひょっとすると、山々は枯れ木の灰色で、荒涼とした無味乾燥な映像になりはしないか?
そんな僕らの心配は、文字通り杞憂だった。半年に1回制作するコンセプト映像のロケは、毎回毎回、悪天候に悩まされてきた。幸い、奇跡の晴天に救われ、すばらしい映像になりはするが、今回は、どうなんだ?と。

すばらしい晴天の日々だった。
抜けるような青空が、川面に美しく揺れた。山々は、新緑とまではいかないけれど、それはそれで四万十川の優美なラインと一体となって美しい景観を見せてくれた。

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緩やかな水面には、
たくさんのタレントがいた。

さらに、四万十川で有名なのは、沈下橋だ。
橋には欄干がなく、増水して沈下した際にも流木などが引っかからず、橋が壊れない知恵。美しい清流と調和する実にシンプルな橋が、眺める僕らのこころをホッとさせる。
一方では、幅の狭い橋は、ときどきクルマが転落する事故もあるようだ。実際、僕らも車で渡ったときは、ちょっとヒヤヒヤだった。

また、四万十川に生息するアカメという魚。 人間のオトナより大きくなるといわれ、目は赤く光る。
人気釣り漫画にも登場する全国でも珍しい幻の魚が、四万十川を泳いでいる。不思議だ。興味深いし、ぜひ、見てみたいと思った。

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四万十川に暮らす人々は、
四万十川にふさわしい言葉をもっていた。

そしてなにより素晴らしいのは、そこに暮らす人々だ。
投網を操る親子代々の漁師さん、東京から嫁いできたカヌーのインストラクター、魚に限らず四万十の自然を守る水族館の館長さん、それぞれが四万十川の意義を感じ、愛しているのだ。 映像の中では残念ながらわずかの秒数だけど、みんなそれぞれ深い思慮と言葉をもっていた。ちょっと感動してしまった。
セブン‐イレブンの人々もまた、その地域を愛し、理想を持って日々を過ごしていた。穏やかな時間の流れ、やさしくも信念のある人々。

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一緒に、あしたへ。

そうした四万十川のひとつひとつ、ひとりひとりを感じながら、セブン‐イレブンのチャレンジを表現していった。
セブン‐イレブンは、全国におよそ約2万1千店。圧倒的な数は、まさに日本のインフラとなって活躍する。そのひとつひとつ、お店で働くひとりひとりが、その地域の暮らしと喜怒哀楽を共にし、前に向かって走りつづける。

一緒に、あしたへ。

毎回、このコンセプト映像のロケの度に、思う。
日本は、美しい。
日本は、やさしい。


永澤仁/クリエイティブディレクター(海の家)

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  • クリエイティブディレクター

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    永澤 仁 海の家 クリエイティブディレクター

    「近くて便利」クリエイティブについて考えたこと

    セブン‐イレブンが向かう先は?

    日本にコンビニエンスストアという事業を拓き、日本全国津々浦々に店舗があるセブン‐イレブン。いまの時代において、その役割は大きく変わりはじめている。掲げるタグライン「近くて便利」、その「近さとは、生活者の心理距離」「便利とは、品質」と解釈し、そして、日本のまいにちの生活に溶け込んだ、なくてはならない存在として「日本のおいしい食卓へ」というキーワードを開発した。

    たとえば、お年寄りなど、生活者たちにとって、セブン‐イレブンの今日的な価値。それを、日本の原風景と調和する懐の深い表現をすることで、生活者を後押しし、さらには店舗のオーナーたちの誇りにつながると考えた。もちろん、映像ひとつひとつの密度がなによりも重要だ。日の出に重なるボールサイン、電車と並走する自転車の女子高生、つねに、撮影は長時間、日の出前から深夜にまで及ぶ。

    日本最大の流通企業であるセブン‐イレブンは、もはや日本の生活インフラだ。その自らの責任を心に刻み、ブランドの根幹を担うコミュニケーションであり、その先の、日本のしあわせをちょっとでもふやす試みだと、僕は、信じている。

    永澤 仁

  • 監督

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    清水 亮司 株式会社ロボット クリエイティブディレクター、CMディレクター

    東京で生まれて、東京で育った。

    妻は九州大分の出身で、「あなたに地方で生まれた人間の気持ちはわからない」などと言う。確かに経験がないのだから、わからない。

    セブン‐イレブンは、いまやほぼ日本中にある。そしてこの「近くて便利」のCMも日本中で流れている。同じCMを、四国で見る人、東北で見る人、九州で見る人、関東で見る人、北海道で見る人、関西で見る人、がいる。

    我々がCMのために撮影した風景や、商品や、家族の姿や、その笑顔を日本中の人々が皆同じ気持ちで見ているとは限らない、とは思う。

    でも、日本に生まれ、育ち、あるいは暮らす人ならば、同じ想いで「きれいだね」とか「おいしそう」とか「楽しそう」と感じてくれる映像があるはずだ。

    人の気持ちはいまだにわからない。自分の気持ちでさえわかっている自信がない。わからないけれど、そんな人と人とが同じ何かを感じ共有できる瞬間がある。と信じて今日も、風景や、商品や、人に向き合ってこの「近くて便利」のCMを作っています。