知ってほしいアレルギーのこと 「アレルギーの原因食物」は変化し続ける

多くの人に知ってほしい食物アレルギーのことを専門家がわかりやすく解説します。

赤城 智美氏の画像
認定NPO法人アトピッ子地球の子ネットワーク事務局長 専務理事
赤城 智美

1993年にアトピッ子地球の子ネットワークを設立。人と自然がよりよく共存することを願い、食物アレルギーの子もそうでない子もみんなで楽しく過ごせる環境教育キャンプを120人規模で例年開催。1995年以来、大規模災害時に食物アレルギーの人への食料支援を行うほか、新型コロナ禍で経済困窮した人やひとり親家庭へのアレルギー用粉ミルク・アレルギー対応食品の無償提供を現在も継続して行っている。学校・自治体・食品企業などでの講演活動にも取り組んでいる。

時代とともに変化する「食」事情

イメージ

50年前は店頭で見たことのなかったキウイフルーツ。1990年代に学校給食の献立に登場するようになり、今では食物アレルギーの原因食物としてもポピュラーな存在になりました。カシューナッツやマカダミアナッツなどの木の実類も、健康志向の高まりや食の多様化などを背景として食べる機会が増えています。

海外からもたくさんの人が日本を訪れるようになり、滞在者の要望に応えるようにしてさまざまな国の食品が手軽に手に入るようになりました。SNSを通じて海外で流行った食品が日本で広まることもあります。それらの食品が年齢を問わず食べられるようになると、アレルギーの原因食物となって患者の増加に繋がってしまうこともあり得ることです。

失われつつある「おばあちゃんの知恵袋」

イメージ

かつて家庭ごとに存在した「おばあちゃんの知恵袋」には、科学的根拠のあるものも迷信じみたものもあります。残念なのは、知恵の伝承が廃れたことで健康に悪影響をおよぼすようになったものもあることです。「乳幼児に生ものを食べさせてはいけない」という伝承が廃れ、赤ちゃんに生のいくらを食べさせてアレルギーを発症させてしまう事例が20年ほど前から発生し、なかなか減りません。「知らなかった」という保護者の声が多いのです。

変化のスピードに追いつく努力

イメージ

時代とともに変化する食生活に対応し、食物アレルギーの人の発症原因をいち早くとらえ「危害防止」に備えるため、法律は数年ごとに改正されています。アレルギー表示の義務がある食品や奨励されている食品は、迅速に変更され続けています。昔ながらの知恵を見直しつつ、最新情報と照らし合わせることが大切です。

おしえて!赤城さん

イメージ

Q. 食物アレルギーの人は食べて発症するのですか? 触るのは大丈夫?

A. 「食べる」「接触する」「吸い込む」、アレルギーが発症するきっかけは、この3つの経路で体の中に原因物が入ることで起こります。食物アレルギーの人の中には、食べて発症したことがきっかけで触れても吸い込んでも症状が出てしまう人もいます。その人によって状況は異なるので、身近な人で食物アレルギーの人がいたら、どんな状況で症状が出るのか詳しく聞いてください。

食の知識・学び ~ アレルギー表示 ~

イメージ

概ね3年ごとに健康被害の実態に合わせて、表示対象は見直しが行われています。

  • 写真はイメージです。

おすすめ動画

アトピッ子地球の子ネットワーク赤城智美氏に聞く 知って欲しいアレルギーのこと Youtubeで見る

知ってほしいアレルギーのこと(02:53)

食物アレルギーについて知っておきたいことを、認定NPO法人アトピッ子地球の子ネットワーク事務局長専理事赤城智美氏にお伺いしました。