知ってほしいアレルギーのこと 最終回 まだお伝えしたいことがたくさんあります

多くの人に知ってほしい食物アレルギーのことを専門家がわかりやすく解説します。

赤城 智美氏の画像
認定NPO法人アトピッ子地球の子ネットワーク事務局長 専務理事
赤城 智美

1993年にアトピッ子地球の子ネットワークを設立。人と自然がよりよく共存することを願い、食物アレルギーの子もそうでない子もみんなで楽しく過ごせる環境教育キャンプを120人規模で例年開催。1995年以来、大規模災害時に食物アレルギーの人への食料支援を行うほか、新型コロナ禍で経済困窮した人やひとり親家庭へのアレルギー用粉ミルク・アレルギー対応食品の無償提供を現在も継続して行っている。学校・自治体・食品企業などでの講演活動にも取り組んでいる。

社会と人との接点に「食」がある

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食物アレルギーは、成長とともに治る場合もありますが、治らないまま大人になる人もいます。また、大人になってから発症することもあります。子どもの間は家族が見守り、アレルゲンが含まれていないものを探してくれますが、年齢が上がるにつれて自分で安全確認をしなければならなくなります。外食、宿泊、旅行、留学など社会との接点も増えていきます。

表示義務:特定原材料8品目 卵、乳、 小麦、そば、落花生(ピーナッツ)、えび、かに、くるみ 表示推奨:特定原材料に準ずるもの20品目 アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

アレルギー表示が義務化されたのは2001年。それまで認識されていなかった「食物アレルギー」は、多くの人に知られるようになりました。ただ残念ながら、アレルギー表示が義務化されただけでは「食物アレルギーがある人の暮らしにくさ」や「生きづらさ」は解決しませんでした。入口に「食物アレルギーの人お断り」と書かれた子ども食堂や、「修学旅行の参加を辞退してください」という小中学校など、乗り越えなければならない課題はまだいくつも存在しています。

セブン‐イレブンと市民団体の協働

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10~20代の食物アレルギーがある人たちが、社会生活の中で直面するさまざまな問題や課題について体験を語り合い、解決策を探る交流会をオンラインやリアルな会場で開催しています。この協働事業は今年で5年目を迎えました。語り合うだけでは解決しないこともありますが、語り合うことで未来を切り開く発見に毎年出会っています。

おわりに

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本稿では「知ってほしい食物アレルギーのこと」というテーマで、さまざまなことをお伝えしてきました。もしあなたが、今まで気づかなかったけれど身近に食物アレルギーの人がいることに気付いたら、その人とぜひお話ししてみてください。新たな発見やお互いの理解が深まることを願っています。

おしえて!赤城さん

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Q. アトピッ子地球の子ネットワークはどんな活動をしていますか?

A. その時々の社会の動きに連動して活動の優先順位が変化しています。新型コロナ禍以降は、SDGsの「貧困をなくそう」「すべての人に福祉を」「パートナーシップで目標を達成しよう」の3つのテーマを柱に、食物アレルギーや乳児消化管アレルギー、重度障がいがある子どもたちのうち「アレルギー用粉ミルクが必要な人」に無償で粉ミルクを提供する活動を行っています。

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知ってほしいアレルギーのこと(02:53)

食物アレルギーについて知っておきたいことを、認定NPO法人アトピッ子地球の子ネットワーク事務局長専理事赤城智美氏にお伺いしました。