前回までのコラム「原材料名について」に引き続き、内容量に関する表示のギモンにお答えしていきます。知って得する食品表示の見方を、Food Communication Compass代表の森田 満樹氏と一緒に学んでいきましょう!
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- 一般社団法人 Food Communication Compass 代表
- 森田 満樹氏
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東京海洋大学・大妻女子大学非常勤講師/消費生活コンサルタント。国の「コーデックス連絡協議会」、農林水産省「食品の安全性に関するリスク管理検討会」、消費者庁「食品表示懇談会」などの委員。食品安全、食品表示、消費者問題について講演・執筆活動を行っている。

- 消費者と「食」にかかわる人のための新しい食品表示がわかる本森田満樹/著
Q1. 「内容量」とは何ですか?

内容量とは、食品の中身を示す指標であり、内容重量(g、kg)、内容体積(ml、L)、内容数量(個数など)で表示されます。特定の食品については、計量法により表示方法が定められており、食品の種類に応じて質量または体積で表示する必要があります。それ以外の食品は、内容重量・内容体積・内容数量のいずれかで表示することが認められています。
たとえば「お米」は計量法の特定商品に該当し、必ず質量(g、kg)で表示しなくてはなりません。また、「醤油」や「食酢」は必ず体積(ml、L)で表示します。飲料の場合は、重量または体積のいずれでも表示可能です。なお、メープルシロップは液体ですが、特定商品では砂糖の範囲に含まれるため、砂糖と同様に質量(g、kg)で表示する必要があります。
Q2. 容器や包装の重さは含まれますか?

内容量は製品の実際の中身を示すものであり、容器や包装の重さは含まれません。見栄えを良くするための飾りつけ品や、サービスとして添付される練りからし・たれなども内容量には含めず、差し引いた量を表示します。包装紙を含めて計量する場合には、消費者に誤解を与えないよう、その旨を明記する必要があります。
なお、缶詰(例:ももの缶詰)のように固形物にシロップなどを加えて密封したものは、内容量の代わりに固形量および内容総量を表示します。ただし、固形物と内容総量がほぼ同じ場合や、液体が内容物を保護する目的で使用される場合には、内容量の表示でも問題ありません。また、固形物に充てん液を加えて密封した食品(たけのこ、山菜などの水煮、こんにゃくなど)は、固形量のみを表示することが認められています。
Q3. お弁当に「1食」と書いていて、グラム表示がありませんでした。

お弁当は特定商品ではないため、内容量の表示方法として「1個」「1食」「1人前」などの数量表示が認められています。また、内容量を外から見て簡単に識別できる場合には、内容数量の表示そのものを省略することも可能です。お弁当・おにぎり・サンドイッチなどは一般的には「1食」などの数量表示が用いられています。
惣菜についても「1人前」「1食」「1個」など数量で表示することも可能ですが、つくだ煮や煮豆などの特定商品に該当するものは、内容量の省略が認められず、必ず内容重量で表示する必要があります。また、パンなどで1袋に入っている個数に幅がある場合は、内容量を「1kg(●~●個入り)」などの表示が用いられることもあります。
マメ知識計量に使用するはかりには決まりがあります

内容量を正確に表示するためには、計量に使用するはかりが正確なものでなければなりません。
計量法により、2年に1度、都道府県知事が行う定期検査を受検することが義務付けられており、合格したはかりには「定期検査済証印」が付されます。この証印がないはかりは、使うことができません。
<内容量表示のポイント!>
内容量の表示は商品ごとに細かくルールが定められており、使用するはかりも定められており、誤差の範囲も定められています。表示されている内容量が正しいかどうかは、検査員による抜き打ち検査で確認され、誤差の範囲を超えていれば法律違反となります。消費者の不利益を被らないよう、内容量は厳格にチェックされています。