昭和28年から平成22年まで、ガソリンスタンドを経営していました。父の代から続くスタンドで、大阪市内の４店舗のうちの一つです。元は石油の卸業を営んでおり、大阪はもとより、三重や奈良の業者とも広く取引していました。
スタンドは戦後、戦地から戻った父が始め、ガソリン需要が増えた高度経済成長の波に乗って売上は右肩上がり。４か所のスタンドはそれぞれ繁盛していました。

ガソリンスタンドは経営環境が厳しくなっていましたので事業としてはたたみ、跡地については最初、売却を考えました。引き合いはありましたが、条件面での折り合いがなかなかつかなかったところに、セブン-イレブンと提携関係にあった石油会社から話が持ち込まれました。
当初は、息子夫婦をセブン-イレブンのオーナーにするつもりでした。しかし孫がまだ小さかったため、自分たちで店舗経営をするのは難しいと断念。店舗を建築してセブン-イレブン本部に貸すという方法があることを知り、最終的にその方向で契約に至りました。

売らなくてよかったと思っています。売却してしまえば、それで終わり。一定の所得にはなりますが一時的なものです。建て貸しにすると初期投資は必要ですが、賃料が確実に入りますし、投資分は計画的に回収できる。実際にできた店舗は、とても繁盛しています。子どもにも収益物件として残せますから、長い目でみて、セブン-イレブンとの賃貸借契約を選んで本当によかったと思います。

JR桃谷駅の東側で、周辺には事業所と住宅が密集しています。歩いて10分ほどのところにコリアタウンがあり、土日はまるで祭のように人でごった返します。そちらから流れてくるお客様も店の前を通ります。早朝から人の出入りがある青果市場も近くにあり、24時間営業のセブン-イレブンは重宝されています。
桃谷以外に東大阪市の長栄寺にも土地を所有しており、そちらも賃貸借契約を結んでいます。桃谷店の成功で、2か所目もぜひセブン-イレブンにと考えました。
その土地は、それまでコインパーキングにしていました。まだ契約途中でしたが、急遽解約しました。違約金を払う形になりましたが、それでもセブン-イレブンのほうが魅力的だったのです。目論見どおり、その判断は大成功でした。

跡地にコンビニが建つこと自体、最初はあまりピンときませんでしたが、営業担当の説明からは、一切、不安な要素を感じませんでした。商圏の特徴や人口動態、売上見込みなど、綿密な事前調査に基づく話だったからです。人柄も含め、担当者を信頼できたという点も大きかったですね。 少し気になったのは、特徴的な土地の形状。できた店舗を上から見ると尖った三角形をしています。レイアウトにはかなり苦労したようですが、地面に立ってみると、普通のセブン-イレブンの店舗になっています。

オーナーは朝早くから来て頑張っています。店長はしっかりしていますし、人も育っています。そういう姿を見ていると、いろいろと応援したくなりますね。
ここにセブン-イレブンがあることで、商品の提供や銀行窓口など地元の方の生活のインフラとして役立っている。跡地利用にはマンションなども考えられますが、社会的役割の高さや地域への貢献度などは、コンビニならではだと思います。

もともと場所として適していたのでしょう、ガソリンスタンドを営業していたときから、若い子に「スタンドではなくコンビニをやってほしい」とよく言われてはいました。この周辺の皆さんは、ここにコンビニがあれば便利だなと思っていたようです。それは2店舗目の長栄寺店もそう。地域の人に歓迎され、喜んでもらっています。
一番の理由は、やはり利便性でしょうね。ここは値段にシビアな地区ですが、それ以上に便利なことが受け入れられているということです。あとはやはり商品に対する評価が高い。セブン-イレブンの商品は、どれも味が良いと言ってもらえます。