食品表示の中で最も多くの情報がつまっている「原材料名」を見て、なんだか難しそう…と感じたことはありませんか?知って得する食品表示の見方について「Food Communication Compass」代表の森田 満樹氏と一緒に学んでいきましょう!
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- 一般社団法人 Food Communication Compass 代表
- 森田 満樹氏
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東京海洋大学・大妻女子大学非常勤講師/消費生活コンサルタント。国の「コーデックス連絡協議会」、農林水産省「食品の安全性に関するリスク管理検討会」、消費者庁「食品表示懇談会」などの委員。食品安全、食品表示、消費者問題について講演・執筆活動を行っている。

- 消費者と「食」にかかわる人のための新しい食品表示がわかる本森田満樹/著
Q1. 原材料名とは何ですか?

「原材料名」とは、その食品を作るために使われた材料の名前を、原則として重量の多いもの順に並べて表示したものです。たとえば、洋菓子にバターが使われているのか、植物油脂なのかがわかりますし、「小麦粉、砂糖、バター」と書かれていれば、小麦粉が一番多く使われいることがわかります。また、添加物を使っている場合は、原材料とは分けて書かれます。
さらに、「生クリーム(乳成分を含む)」のように、アレルギー情報が表示されていたり、「豚肉(国産)」のように原料の産地が書かれていることもあります。このように、「原材料名」は、その食品が何でできているかを知るための大切な情報源です。
Q2. どれが食品添加物ですか?見分け方は?

添加物は、通常「/(スラッシュ)」の後にまとめて表示されます。たとえば、「いちご、砂糖/ゲル化剤(ペクチン)、酸化防止剤(ビタミンC)」と書かれていれば、「ゲル化剤」以降が添加物です。原材料名の文字が多い場合は、(/ スラッシュ)がどこにあるのか気をつけて探してみましょう。また、添加物は「酸化防止剤(ビタミンC)」などのように、用途名+物質名で書かれていることもあります。
ほかにも、原材料と添加物を区分するために、改行や欄を分けて表示する方法もあります。なお、原材料名にこうした区分がない場合は、その食品は添加物を使っていない食品です。製造方法や容器包装を工夫することで、添加物を使わない食品も増えています。
Q3. すべての原材料が表示されているのですか?

基本的にはすべて表示されますが、例外もあります。たとえば、マヨネーズのように複数の原材料からなる「複合原材料」を使っている場合、マヨネーズのあとにカッコをつけて「マヨネーズ(食用植物油脂、卵黄、酢…)」のように、構成する原材料を重量順に表示しますが、次のような場合、「その他」とまとめて表示されることがあります。
- ・複合原材料の原材料が3種類以上あること
- ・その原材料が複合原材料に占める重量の割合が上位3位以下で、かつその割合が5%未満であること
また、複合原材料の最終製品に占める割合が5%未満の場合は、複合原材料の原材料を省略できます。ただし、アレルギー物質、食品添加物を含む旨は省略できません。
マメ知識「チョコレートコーチング」は間違い?

アイスなどにコーティングされたチョコレート。原材料名を見ると「チョコレートコーチング」と表示されているものがあります。コーティングの間違いでは?と思われそうですが、1970年代につくられた「公正競争規約」という規格で定められたれっきとした言葉です。コーティングチョコレートのうち「チョコレート類を原料とし、(中略)カカオ分が全重量の8%以上またはココアバターが全重量の2%以上のもの」を「チョコレートコーチング」と呼ぶことができ、その定義を満たしたものが表示されているのです。
他にも不思議なケースとして、黄桃やパイナップルの缶詰に表示される「シラップづけ」という言葉があります。シロップ漬けと間違われそうですが、かつて昭和の時代に定められたルールで果物を漬ける液体の種類によって「シラップづけ(ヘビー)」「果汁づけ(加糖・ライト)」などの名称の定められ、それが現在の食品表示基準にも受け継がれています。現在、このように時代に合わない、違和感がある個別の表示ルールを見直す検討も行われています。
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