Vol.4【専門家に聞く】食の安全と安心を科学する
食品の安全を守る仕組み「HACCP」とは?
Vol.4【専門家に聞く】食の安全と安心を科学する
食品の安全を守る仕組み「HACCP」とは?

画像はイメージです。
本コラムでは、コンビニエンスストアは食中毒事故を起こさないため「安全第一」を基本としたリスク評価・リスク管理が徹底されていると説明してきました。この食品の安全を守る仕組みのカギは「HACCP(ハサップ)」という衛生管理手法にあります。「HACCP」は、すべての食品関連事業者に義務化されており、セブン‐イレブンにおいても、お弁当などを製造している工場・店舗で、「HACCP」の考え方に基づく衛生管理手法を取り入れています。食の安全と安心を科学する会(SFSS)理事長の山崎 毅氏に解説いただきました。
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NPO法人 食の安全と安心を科学する会(SFSS)
理事長
山崎 毅氏
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NPO法人 食の安全と安心を科学する会(SFSS)
理事長
山崎 毅氏
リスク学者/獣医学博士/東京大学農学部卒。
専門分野:食のリスクコミュニケーション
我々が本当に回避すべき食のリスクとは?気になる食の安全・安心の話題を科学的根拠とともに解説します。
「食の安全の落とし穴 最強の専門家13人が解き明かす真実」小島正美/著 山崎毅/著
Q1 HACCP(ハサップ)とは何ですか?
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1960年代にアメリカ航空宇宙局(NASA)が開発した、全ての宇宙食を安全に製造するための衛生管理手法です。宇宙船内で食中毒が起きたら大変です。治療ができませんし、体調が悪いからと地球に戻ることもできません。HACCPの開発により全ての宇宙食の「安全保証」が実現し、今では食品安全管理の国際標準にまで発展しています。
Q2 これまでの食品製造管理とどこが違うの?
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例えば、お饅頭を1日10個製造する場合。これまでは最終製品から1個を抜き取り、微生物検査をしていました。しかしこの方法では、残り9個の安全を完全に保証できません。HACCPでは、最終製品の抜き取り検査の代わりに、製造プロセスの殺菌工程を常時監視することで、お饅頭10個全ての安全保証を可能にしています。
Q3 HACCP(ハサップ)とはどんな仕組みですか?
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- 厚生労働省「HACCPとは?」のデータに基づき作成しています。
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HACCPとは、「Hazard Analysis and Critical Control Point(危害分析および重要管理点)」の頭文字をとったもので、食品の衛生管理システムの国際標準です。すなわち、食品の製造工程において発生しうる危険(ハザード)は何かを分析し、危険を防ぐための重要な管理点(CCP※)を決めて、継続的に監視・記録する仕組みです。
図のように、食品製造工程において病原微生物をハザードと特定し、熱処理工程での殺菌条件を重要管理点(CCP※)として常に監視すれば、次の工程以降で微生物汚染は起こらないわけです。毎日きちんと一定の製造プロセスで衛生管理をしていれば、常に安全な食品が製造できるので、最終製品の検査は不要になるということです。
- CCP:Critical Control Pointの頭文字(重要管理点)
まとめHACCP(ハサップ)はダブルチェックで万全!
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- 食品安全とJFS規格「JFS規格ができること」
- JFSM【食品安全マネジメント協会】
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HACCPは、食品製造業者の自主的な衛生管理監視システムですが、自身で「ちゃんとやっていますよ」と宣言するだけでは不十分です。国際的な標準規格を満たしたHACCPが、本当に機能しているのか(監視・記録が確実にできているか)、第三者認証を得ることでダブルチェックとなり、より万全な食品安全の仕組みと言えるでしょう。

- 食品安全とJFS規格「JFS規格ができること」
- JFSM【食品安全マネジメント協会】
おすすめリンク
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HACCPを理解するためのオリジナル資料(JFIA 一般財団法人食品産業センター)
- ・安全で安心な食品づくりをめざしてNASAで誕生したHACCP
- ・HACCPシステムが食品の安全を守ります!
- ・みんなで守ろう!衛生管理
- ・HACCP学習動画 ほか
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品質のこだわり ~お店の衛生管理~
いつも安心して利用していただけるお店であるために、セブン‐イレブン店舗ではHACCP(ハサップ)の考え方を取り入れ、タブレットなどを活用しながら徹底した衛生管理の取り組みを行っています。
- 写真やイラストはイメージです。