Vol.1【専門家に聞く】食の安全と安心を科学する
食の安全・安心はリスクを理解することから
画像はイメージです。
Vol.1【専門家に聞く】食の安全と安心を科学する
食の安全・安心はリスクを理解することから

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「食の安全・安心」という言葉をよく耳にしますが、「安全な食品」「安心できる食品」とはどのような食品だと思いますか?「リスク」と「安全」の関係をご存知でしょうか?食のリスクに詳しい山崎 毅氏に「食の安全・安心」について解説していただきました。
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NPO法人 食の安全と安心を科学する会(SFSS)
理事長
山崎 毅氏
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NPO法人 食の安全と安心を科学する会(SFSS)
理事長
山崎 毅氏
リスク学者/獣医学博士/東京大学農学部卒。
専門分野:食のリスクコミュニケーション
我々が本当に回避すべき食のリスクとは?気になる食の安全・安心の話題を科学的根拠とともに解説します。
「食の安全の落とし穴 最強の専門家13人が解き明かす真実」小島正美/著 山崎毅/著
Q1 食の安全とはリスクがないこと(ゼロリスク)ですか?
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ちょっと違いますね。我々が毎日食べている食品には必ずリスクが存在します。リスクとは「将来的に発生するかもしれない危険の度合い」をいいますので、必ずしも危険(事故)に遭うとは限りません。生魚を食べるときは、食中毒のリスクがあります。生魚の保存状態が悪いと、食中毒のリスクは大きくなりますね。
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安全の定義
あくまでも一例です。すべての卵アレルギーの方に当てはまるわけではありません。
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実は、食品中にリスクが残っていても「許容可能な範囲」であれば「安全」と言えるのです。お寿司屋さんでは、生魚を提供しているからリスクがあり「安全」ではないのかというと、リスク管理がきちんとできていれば「安全」です。さらにそのお寿司屋さんが「信頼」できるお寿司屋さんなら「安心」ですよね。「安心」は主観的なものなのです。
Q2 食のリスクの大小は何で決まるの?
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- 厚生労働省「食中毒統計資料」のデータに基づき作成しています。
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リスク管理ができていれば「安全」と上述しましたが、天然の食材はどうでしょう?天然の食材は、国によるリスク評価・リスク管理が万全ではありません。調理者が誤ると食中毒のリスクが高まります。よくフグやキノコで食中毒が起こりますし、生肉の加熱が不十分でもリスクが大きくなってしまいます。
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リスクのトレードオフ
あくまでも一例です。添加物不使用だと必ず食中毒が起こるという意味ではありません。
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それに比べると、リスクが大きいとよく勘違いされる食品添加物は国による綿密なリスク評価・リスク管理下にあり、リスクは無視できるほど小さいと専門家は評価しています。
まとめ食品中の何が大きなリスクか理解しましょう
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食品成分のうち何が大きなリスクなのか、科学的にリスク評価・リスク管理されているものほど安全性が高まるなど、理解できたでしょうか?健康被害が頻発している微生物汚染や自然毒に比べて、リスク管理が十分に行われている食品添加物や残留農薬などは、「許容可能な範囲」で使用されており安全性は高いと専門家も評価しています。

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