Vol.7【専門家に聞く】食の安全と安心を科学する
気になる食品添加物Q&A その3
Vol.7【専門家に聞く】食の安全と安心を科学する
気になる食品添加物Q&A その3
画像はイメージです。
これまで2回にわたり「食品添加物」の役割や安全性について、食の安全と安心を科学する会(SFSS)理事長の山崎 毅氏にお話しいただきました。今回は、最終回として「食品添加物」がどんな法律や社会的ルールに基づいて使用されたり、表示されたりしているのかについて、引き続き山崎氏にご回答いただきます。
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NPO法人 食の安全と安心を科学する会(SFSS)
理事長
山崎 毅氏
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NPO法人 食の安全と安心を科学する会(SFSS)
理事長
山崎 毅氏
リスク学者/獣医学博士/東京大学農学部卒。
専門分野:食のリスクコミュニケーション
我々が本当に回避すべき食のリスクとは?気になる食の安全・安心の話題を科学的根拠とともに解説します。
Q7 食品添加物にはどのようなルールがあるのですか?
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食品添加物は、さまざまな科学的データに基づき審議・評価を行い、安全性と有用性が確認され、厚生労働大臣が認めたもの以外の使用は禁止されております。また、添加物自体の製造や保存方法に細かい基準があります。これは50年以上前に起こった食中毒事件の教訓をもとに、不純物混入など、規格に合わない添加物の使用を禁止するためです。
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- 出典:長村 洋一「消費者の誤解は量の概念の不足から」(2018)食のリスクコミュニケーション・フォーラム2018 第1回資料より改変
https://www.nposfss.com/cat9/riscom2018_01.html
- 出典:長村 洋一「消費者の誤解は量の概念の不足から」(2018)食のリスクコミュニケーション・フォーラム2018 第1回資料より改変
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食品添加物を使用する場合には、どの食品にどのくらいの量なら使用して良いかという厳しいルールが決められており、食品事業者はこれを遵守することが義務となっています。また、食品表示法により、原則使用した添加物はすべて表示することとされています。
Q8 海外で認可されていない添加物が日本では使われている?
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たしかに海外で使用されていない添加物が国内で使用される場合がありますが、それは食文化や制度の違いにより、海外ではその添加物の登録がない場合が多いようです。例えば、和菓子によく使用される着色料の「クチナシ色素」が海外で認可されていないのは、「クチナシ色素」を必要とする和菓子の需要がないからと考えます。海外で認可されていないから危険ということではありません。
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海外で許可される添加物の数は日本と比べてかなり少ないという言説を散見しますが、添加物の分類法が国ごとに違うだけです。食品は世界各国と輸出入されています。各国の規制に差があると輸出入できなくなってしまうので、国際間で同様の規制が行われるように国際機関によって調整されています。
Q9 表示されない添加物もあると聞きました
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加工食品において、原則として使用されているすべての原材料は「原材料名」という項目に記載されています。また、食品添加物は、原材料名とは別に「添加物」という項目に表示されるか、原材料名欄内で「/(スラッシュ)」などを用いて食材と区別して表示されます。ただし、使用方法によっては表示が免除される添加物も存在します。
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例えば、しょうゆに「保存料」が含まれている場合、せんべいの味付けに使用されても、保存料の含有量が少なく、せんべいには効果を持たないため、保存料の表示は免除されます。また、ポテトチップスには酸化を防ぎおいしさを保つ目的で袋に「窒素」が充填されていますが、袋を開封した際に空気中に拡散し、我々が口にする食品そのものには残りませんので、こちらも表示が免除されます。
まとめ消費者にメリットがあるから使用しています
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食品添加物は、安全・安心であるだけでなく、消費者にとってメリットがあるからこそ、食品事業者はコストをかけてでも添加物を使用しています。食品安全の専門家は、現行の使用基準では添加物が健康被害を引き起こすことはありえないと断言しています。食において本当に気にすべきリスクは、衛生管理状況、食物アレルギー、栄養バランスなどではないでしょうか。
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- 写真やイラストはイメージです。