これからの50年をどうしていくかを、社員で話し合って決めた
- - セブン‐イレブン・ジャパン(以下、SEJ)は2023年に創業50周年を迎えました。
- 永松 セブン‐イレブンは、50年前にサウスランド・コーポレーション(現7-Eleven, Inc.)とライセンス契約を結び、日本におけるコンビニエンスストアの歴史をスタートさせました。この50年、私たちは「開いててよかった」「近くて便利」と「質の高い商品」といった「経済的価値」を追求してきました。その結果、現在では年間売上約5兆円、日々約2,000万人のお客様が来店する、全国に21,000を超える店舗を展開するコンビニエンスストアチェーンに成長いたしました。そして50周年の節目を迎え、「次の50年」に向けてセブン‐イレブンは、ここから新たな成長戦略を描くフェーズに入ってきています。
- - これからの50年は、どのような方向性で進んでいくのでしょうか?
- 永松 今、日本では少子高齢化や人口減が深刻化し、特に地方都市ほど顕著にその影響が出てきており、日本が抱えている社会課題の解決に貢献することが、今まで以上に強く求められてくるのではないかと考えています。そのためには、これまでの50年で行ってきた「経済的価値」の提供に加えて、「社会的価値」を追求していくことが非常に重要であると考えています。
「経済的価値」の提供についても、今までのようなワンフォーマットなやり方では上手くいかなくなってきています。私はOFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー/店舗経営相談員)として最初に会津若松に赴任し、その後も全国の各地域で仕事をしてきました。さまざまな地域を経験したからこそ、一つとして同じエリア、同じ店舗はないのだということを非常によく理解しています。
SEJの本社は東京(四ツ谷)にありますが、例えば銀座にあるセブン‐イレブンと北海道の北見市にあるセブン‐イレブンとでは、立地や客層、一人当たりのお客様がお買い物される際の客単価など、あらゆる環境が異なります。特に日本のマーケット環境においては、こうした地域ごとの違いを考慮せず、東京の本部だけで全国で画一の戦略方針を立てたとしても上手くいくはずがありません。これからは、各店舗の地域特性や立地の違いなどを考慮したお店づくりを進めていくことが、さらに重要になっていくでしょう。
また、「社会的価値」を追求していくために、この50周年のタイミングで、「明日の笑顔を 共に創る」という目指す姿と、健康・地域・環境・人財という「4つのビジョン」を掲げました。
- - SEJの目指す姿である「明日の笑顔を 共に創る」という言葉は、どのようにして生まれたのでしょうか?
- 永松 「次の50年」SEJはどうあるべきかについて全社で議論するため、2021年から「みらいセブンプロジェクト」を発足しました。例えば、入社2、3年目と20年目の社員とでは考え方は全く違います。あるいは住んでいる地域や職種によっても、見えているもの、価値観は全く異なります。「みらいセブンプロジェクト」では、立場や年齢、部署の異なるさまざまな社員がチームを作り、垣根を越えて意見を出し合いました。そこで出た意見を代表者が持ち寄って更にディスカッションを重ね、その意見をチームに持ち帰って更に話し合うということをくり返していきました。こうして2年かけて紡ぎだしたのが、「明日の笑顔を 共に創る」という言葉です。
セブン‐イレブンは、社員の力だけでここまで成長を続けることができたわけではありません。創業以来、お客様や地域社会、オーナー様・従業員様、お取引先様や株主の方々など、多くの方々から多大なるご尽力をいただきました。だからこそ、「セブン‐イレブンだけが良くなる」という考え方では決して上手くいきません。あらゆるステークホルダーの皆様と共に良くなっていくのだという想いが、「明日の笑顔を 共に創る」という言葉には込められています。
- - 4つのビジョンである「健康」「地域」「環境」「人財」について教えてください。
- 永松 ビジョンの1つ目は「健康」です。セブン‐イレブンはこれまで、商品の「美味しさ」と「品質」の両立を目指してきました。そこに、「健康」という価値を加えていきます。スムージーやプラントベースプロテイン(※1)などの取り組みを進めていますが、こうした取り組みをさらに加速することで、お客様の健康な生活に寄与していきます。
2つ目は、「地域」です。セブン‐イレブンは、「地域と共に生きる社会の実現」を目指し、地域の原材料を活用した地区商品の開発や、行政と連携したプロモーションなどを進めます。人口減や過疎化が進む地方も含め、スマホで注文できる商品お届けサービス『7NOW』を軸として、ドローン活用などさまざまな配送モデルの検討を進めていきます。全国21,000を超える店舗がハブとなり、地域の生活拠点として貢献していきたいと考えています。
3つ目が「環境」です。私たちは既に、セブン&アイグループの『GREEN CHALLENGE 2050』という目標のもとで取り組みを進めていますが、環境にも健康にも寄与するベジタブルプラント(※2)の取り組みや輸送エネルギーのコスト低減に繋がる魚の陸上養殖(※3)など、サプライチェーン全体でこのプロジェクトを先導して進めています。ペットボトル回収機の設置やCO2抑制の新型店舗も拡大する予定です。
4つ目が「人財」です。セブン‐イレブンは、「多様な人財が活躍する、幸せな社会の実現」を目指し、加盟店オーナー様や従業員様に対してさまざまな研修制度や表彰制度を用意しています。もちろんSEJで働く社員の皆さんが今まで以上に働きやすく・働き甲斐を感じていただける環境や制度を創っていきます。
これら4つのビジョンを通じて、私たちは「明日の笑顔を 共に創る」という、目指す姿に向かって進んでいきたいと思います。